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2020年2月28日(金)〜 3月1日(日)「第55回日本書研展」 於:上野の森美術館

陽射しが柔らかくなり、上野公園の木々が芽吹き始め出すこの時期、今年も東京・上野公園内にある「上野の森美術館」で「第55回日本書研展」が開催されました。新型コロナウィルス感染が国内で確認され、感染拡大防止の観点から、またご来場される方の安全も考慮して会期を短縮することとなりました。それでも足を運んでくださった来場者からは「静かな上野公園も趣があり、会場内もゆっくりと見ることができた。」と楽しんでくださいました。
会場には令和元年度に師範位を取得した方々を加え、日頃から当会発行の月刊誌「書の心」を中心に学びながら、自身の書風を追求し研鑽を重ねた作品120点が展示されました。楷・行・草・篆・隷書などの漢字作品は、力強いタッチで重厚な味わいを感じさせるものもあれば、軽やかな筆さばきで心躍るような作品もありました。また優雅な料紙に繊細に書かれた仮名作品などの前では、食い入るように鑑賞し、写真に収める方も見られました。当会は来年8月に創立110年を迎えます。それに先立ち、令和3年5月18日(火)〜5月24日(月)には「上野の森美術館」にて「創立110年記念展」を開催します。110年の歴史に刻まれるような展覧会になるよう会員一同、この奥深い「書の道」を更に追究し、研鑽していきたいと思います。


2020年2月8日(土)研修会「生誕550年記念 文徴明とその時代」(東京国立博物館と台東区立書道博物館の連携企画展)

令和元年度の研修会は、東京国立博物館と台東区立書道博物館の連携企画展の鑑賞会でした。明時代の中期に活躍した文徴明やその時代に活躍した文人たちに焦点が当てられ、国内屈指の名品が集められ、展示総数は二館合わせて133件にものぼり、文徴明生誕550年記念に相応しい展覧会でした。ある解説本には「文徴明の書に奔放な人間性の発露や強烈な個性を見出すことはできない。見出されるのは一点一画ゆるがせにしない謹厳さ、きめの細やかさである。この書風は弛まぬ努力と工夫によって獲得されたものである。」と書かれていました。古典に立脚して技法を錬磨し、天才ではないが努力家の文徴明の清雅な作風に、温厚篤実な人柄と90歳という長寿が加わり、その時代、特に蘇州における芸苑の領袖として君臨した文徴明の魅力に迫りながら、彼に影響を与えた父の友人の沈周や、彼と交遊のあった唐寅・祝允明などの書画も同時に鑑賞できました。特に書道博物館で学芸員の方はユーモア交えて説明してくださり、また質問にも豊富な知識で丁寧に受け答えされ、並べられた展示品を様々な観点から鑑賞することができました。二館に分かれて午前の鑑賞を終えた参加者は上野の「韻松亭」に全員集合し、懐石料理を堪能した後次の会場へと足を運びました。当日国立博物館では「文徴明とその時代」と題した講演会も開催され、参加者の中には聴講された方もいらして、文徴明の世界に魅了された研修会となりました。


2020年1月26日(日)13:30〜15:30「審査員勉強会・艦査員及び支部長勉強会」

令和2年最初の勉強会は、現在「書の心」誌で半紙草書課題として勉強している「懐素」の『草書千字文』の中から「徳建名立・・・24文字を臨書作品に纏める」が課題として取り上げられました。参加者からは「『草書千字文』は、字間・行間の余白のバランスの取り方が難しく、用紙に2行書きにするか3行書きにするかと苦心した。」「一文字一文字が離れていても連綿が感じられた。」などの感想が多く聞かれました。「書の心」誌でこの草書課題担当の石橋柳苑名誉顧問は、課題の他に「李白」の詩も倣書作品例として持参され、創作をする際の注意点を話されました。米山映峯最高顧問は「原帖を細かく観察すると中鋒、側筆が自在に使われ、筆が良く回転していて、線が多彩で文字の大小・肥痩もあり、魅力に溢れています。その運筆をいかに読み取って自分のものにするかが大切です。」と話され、実技の時間では「習」「因」を例に挙げ、中鋒・側筆がどこに見られるか、転折はどのようになっているかなどを説明されました。また単調な線にならないようにするためには、どのような筆遣いをすると線の肥痩が出るか、手首から先だけで描くのではなく、筆が進む方向に肘も動くように腕全体を使って書くと良いなど、生徒を指導する際にも役立つようなアドバイスもあり、充実した勉強会となりました。


2020年1月19日(日)12:30〜14:30 研究会「支部長講習会」

寒の入りとともに、寒さが一段と厳しく感じられるこの頃です。今年最初の研究会は4月に実施される師範・昇段昇級試験に向けての支部長対象の講習会でした。最初に試験担当者から試験課題提出までのスケジュールと注意事項の説明があり、次に仮名部の半紙・条幅課題作品、その後漢字部の半紙・条幅課題作品の講習が行われました。仮名部では田中金川最高顧問の参考手本が展示され、文字の選び方、構成や墨の濃淡などについて、また漢字部では陳列された支部長の課題作品を例に、半切や半紙に収まる文字の大きさ、行間、墨つぎ、落款の位置なども含めた作品構成、また間違えやすい文字や誤字に見える文字について、細部に亘り講師の米山映峯最高顧問から説明がありました。「試験課題の手本は作品性よりも書き易く、受験する生徒がこれまで勉強してきた成果が発揮できるように心掛けてお書きください。今日はみなさんが自信を持って生徒を指導できるよう疑問点は積極的に質問し、アドバイスがあればどんどん発言しましょう。」と話があると、支部長からは次々と質問の手が挙がりました。また熱心にメモを取る姿はあたかも自身が受験するような真剣そのものでした。
2月、3月の研究会は「試験課題の添削会」です。受験される会員以外にも、ご指導の先生も参加できます。細部まで丁寧な添削指導が受けられますので是非ご参加ください。


2019年11月10日(日)〜 11月16日(土)「第55回書心展」〈於:東京都美術館〉

公園のイチョウ並木が彩を増し、爽やかな秋空と美しいコントラストを見せている東京・上野の「東京都美術館」で、11月10日(日)から16日(土)まで「第55回書心展」が開催されました。「書心展」は昭和・平成・令和と時代を超えて「東京都美術館」で開催され、第52回展からは、将来の書道界を担う若い世代を発掘・育成する目的で年齢が制限された16歳から23歳までの「U23の部」も設けられました。展覧会場では漢字・仮名などのいろいろな書体や大きさの作品が展示され、来場者が立ち止まってじっくり眺める姿もあちらこちらで見られました。11月10日(日)午後には美術館内の講堂にて授賞式が行われ、4月から会長に就任された大塚桐霞会長は「作品制作には長い時間を費やし、苦労も多かったと思います。みなさんの書活動を支えてくださった方への感謝の気持ちを忘れずに今後も頑張ってください。来年は更にパワーアップした作品を期待しています。」と話されました。米山映峯最高顧問からは「展示会場では特に若い方の熱心な勉強の成果が窺え、作品が輝いて見えました。また臨書作品も数多く見受けられました。臨書というものは書道を学ぶ上でとても大切な勉強方法の一つです。同じ作品を幾度も臨書しても、そのたびに新しい発見があります。臨書は日々の勉強としてしっかり取り組み、そこから更に進めてご自身の作品を創作し、発表していただきたいです。」とのお話もありました。受賞者や指導者からは「自身の書に取り組む姿勢をあらためて考えさせられるお話で、心に深く残りました。」などの声も聞かれました。
同日、夕方からは「上野精養軒」に会場を移し「書心展・書心学生展懇親会」が開催されました。受賞者の喜びの声やご指導の先生への感謝の言葉、また教室での楽しいエピソードなどが披露され、美味しいお料理をいただきながら和やかな宴が催されました。

東京都美術館 受付
役員作品
受賞作品
会場風景 授賞式
第55回書心展授賞式集合写真

2019年11月16日(土)11:00~12:00 第55回書心展ギャラリートーク
〈於:東京都美術館〉

11月10日(日)から16日(土)まで、東京・上野の「東京都美術館」で開催された「第55回書心展」最終日には、各部門の推薦賞受賞者とそのご指導の先生、当会役員によるギャラリートークが展示会場内で開催されました。「U23の部」優秀賞の受賞者は「書を書くことは幼い時から食事をすることの様に日常生活の中にあり、特別なことではなく、毎週のお稽古に行くことを嫌だとか苦に思ったことがありません。」と自然体で爽やかに話し、会場の視聴者からは拍手が起こりました。トークは「東京都知事賞」「書心賞」「書心大賞」の各賞の受賞者と続き、「題材選び」や「作品の制作過程で悩んだり、工夫したりした点」などの話が繰り広げられました。また指導者からは、どのようにアドバイスされたのか、また大型作品を制作する際のヒントとなるお話なども聞くことができました。会場に集まった人々からは「受賞者の作品に込めた思いを聞くことができ、それを踏まえて鑑賞するのが一層楽しみになった。」「以前から書道に興味があったが、これをきっかけに始めて見ようと思った。」などの声もあり、充実したトークショーとなりました。


2019年11月10日(日)~ 11月16日(土)「第54回書心学生展」

好天に恵まれた11月10日(土)から16日(日)まで、東京・上野公園内にある「東京都美術館」で「第54回書心学生展」が開催されました。
展示会場には7月14日に「中央区立産業会館」で行われた「席書大会」の作品と、同日締め切られた公募作品が一緒に展示されました。例年にも増して暑い日々が続いた今年の7月、参加者が一堂に会場に集まり手本を見ずに30分(高校生は45分)の制限時間内で書き上げた席書大会の作品と、教室で何度も練習を重ねて書き上げられた公募の作品は、所狭しとばかりに壁面いっぱいに展示されました。会場に一歩踏み込んだ途端、子ども達の力強く伸びやかで、躍動感溢れる作品の数々に圧倒され、同時に一生懸命に課題に取り組む様子が目に浮かぶようで、微笑ましくなりました。会場内では作品の前で記念撮影をして、何度も練習をして頑張った様子をご家族と語り合う子ども達で連日賑わいました。同時開催されていた「第55回書心展」をご覧になった後に書心学生展会場にいらした一般の来場者からも「堂々とした書きぶりで作品からパワーを貰いました。子ども達の将来が楽しみですね。」との感想を数多くいただきました。
11月10日(日)午後に同館講堂にて授賞式が行われました。受賞者のみなさんは壇上で賞状を受け取る時には硬い表情でしたが、大塚桐霞会長から「受賞おめでとうございます。頑張りましたね。」とお祝いの言葉をいただくと緊張もほぐれ、閉式後にはご指導の先生と揃って満面の笑みで記念撮影に臨みました。

東京都美術館 受賞作品
会場風景
授賞式
第54回書心学生展授賞式集合写真

2019年10月20日(日)10:00〜16:00 研究会「日本書研展作品下見相談会」

金木犀のほのかな香りが漂い、秋の深まりを感じる穏やかな日曜になりました。
日本書道研究会では来年3月に「上野の森美術館」で開催される「第55回日本書研展」に向けての行事が動き始めました。「日本書研展」は当会の師範位以上の会員の展覧会です。公募展の「書心展」とは異なり、書体や構成など工夫を凝らした小作品が展示され、見る人を楽しませてくれます。「下見相談会」には開始時間の午前10時から終了時間の午後4時まで途切れることなく作品や資料などを抱えた多くの会員が訪れ、担当役員の先生方に下見をしていただきました。内容や構成に迷っている方は、作品のイメージを伝え、型式や用紙などにまで細かくアドバイスをしていただきました。また既に書き込んだ作品を持参された方の中には、「魅力的で人を引きつけ感動を与えるような作品にするには、どのような点に留意して書き込んだらよいか」などと、熱心に質問をされる方もいました。参加者は順番を待つ間にも、熱心にご指導の先生方の話を聞き他の方の作品を見たりしていました。次回11月17日の「書研展作品確認会」に向けて、更に完成度の高い作品を目指そうと大いに刺激を受けた会となりました。


2019年9月22日(日)13:30〜15:30 審査員・鑑査員及び支部長勉強会

今年度より「書の心」誌の半紙行書課題として取り上げている「小野道風」の『屏風 土代』。
和様書道発展に多くの功績を遺した「小野道風」の書風を掘り下げ、今後の臨書への取り組みに活かそうと勉強会が開かれました。今回は「山中感懐」の一節を臨書作品にすることが課題でした。参加者からは、「これまでの中国・唐時代の『顔真卿』などの作品から、日本独自の文化が熟成していく平安時代の作品に変わったことで、歴史的背景や『小野道風』の人物像などがとても興味深く調べられた。」「詩の内容もよく理解することができて、書いていて楽しかった。」など次々と感想が述べられました。参加者の作品は、筆使いを重視して練習してきた作品、できるだけ原帖に近い形式にこだわった作品、更には自身の作品として昇華させたものまで様々でした。米山映峯最高顧問は「『屏風土代』が何を教えてくれるか、まずは原帖とおりに書いてから、筆法・布置・時代・・・など、ここから何を学ぶかを自分で考えることが大切です。私自身も今回何を学ぼうか焦点を絞って書きましたが、また違う視点から書きたいと思います。」話されました。後半では筆法の理解を深めるために全員で筆を持って練習をしました。席の近くの方と解り難かった筆使いをアドバイスし合ったり、資料を基に原帖の文字の捉え方を話し合ったりと活気に満ちた勉強会でした。


2019年9月15日(日)13:30〜15:30 研究会「行書作品 草書作品」

晴れ渡る空を見上げて思わず深呼吸をしたくなるような気持ちの良い季節となりました。
9月初旬に「第55回書心展」の作品提出が終わりホッとしたのも束の間、休む間もなく「書の心」誌の月例課題の提出日が間近に迫りました。「書の心」誌では毎月の半紙課題の中で、4月からは行書課題が「小野道風」の『屏風土代』、草書課題が「懐素」の『千字文』に変わりました。今回の研究会では、行書はそれまで学んでいた中国の「顔真卿」の課題から和様書道を、また草書は数多く書かれている『千字文』の中から選んだ「懐素」の書を、どのような点に着眼して臨書をしていくのが良いかを学びました。最初に大塚桐霞会長が『屏風土代』について説明し、参加者が持参した課題作品を例にしながら「小野道風」の書風の特徴を話されました。『千字文』では石橋柳苑名誉顧問が「懐素」と『千字文』についての詳しい資料を作成して配布してくださり、「書道を学ぶ方なら必ず一度は取り組むであろうと言われる『千字文』ですから、制作に至った歴史背景や内容も深く掘り下げて書くと、一層勉強になります。」と話され、それを基にして詳しく解説してくださいました。また、今回は特に筆法の練習時間を多く取り、大塚会長始め、役員の先生方が参加者ひとりひとりに対応しながら、筆使いなどで疑問のあるところや、練習してもなかなか書けなかった箇所などを丁寧に指導してくださいました。参加者からは「原帖の見方や半紙作品の構成方法など、たくさんのことが学べました。」との声が聞かれ、有意義な会となりました。


2019年8月11日(日)研究会「書心展作品の最終添削会」

各地で最高気温の更新が相次ぎ、厳しい暑さの夏となりました。書心展作品を制作されているみなさんにとっても、今年は暑さとの闘いにもなっているようです。8月11日(日)に本部では「書心展作品の最終添削会」が開催され、作品を持参されたみなさんが次々と集まり、添削指導を受けていました。書心展作品のサイズは半切1枚から全紙2枚継ぎを2曲まで可能な為、大型の作品を出品する方も多く、会場は瞬く間に展示された作品でいっぱいになりました。7月の「添削会」でアドバイスをいただいた箇所を修正して書き込んだ作品を持参した方は、展覧会作品としてより魅力的な作品に仕上げるにはどのように工夫したらよいのかと相談したり、誤字に見えやすい文字や、書いていて自信のない箇所を確認していただく方もいました。一方、初めて書心展に出品するという方は「構成を教えていただき、作品が見違えるようになりました。筆使いもご指導していただき、初めての参加で緊張しましたが、とても勉強になりました。これからも研究会に参加します。」と笑顔で話されていました。この日は会長初め4人の先生が添削指導に当たられ、全体の構成に問題はないか、文字の崩し方に誤りがないかなど、一人一人の作品を細部まで添削をして、展覧会作品に相応しい見応えのある作品になるよう丁寧にご指導されていました。書心展作品の最終締め切りは9月5日(木)です。体調管理に留意して、作品制作に励みましょう。


2019年7月21日(日)13:30~15:30 研究会「書心展作品の添削会」

子供たちが夏休みに入ったためか、本部近くの神谷町駅辺りでは東京タワーや愛宕神社を目指す家族連れが見られ、いつものオフィス街とは違い賑やかです。日本書道研究会の皆さんは毎年この時期、11月に東京都美術館で開催される「書心展」の作品制作で身心共に熱い夏を過ごします。その書心展の作品添削会が7月21日に本部に於いて行われました。提出締め切りは9月5日ですが、既にかなり書き込んだ大型作品を持参して、完成度の高い作品にするには更にどのような工夫をしたらよいのか等を質問する方や、作品の内容や構成にまだ迷っていて、参考資料を提示しながら相談する方など相談内容は様々でした。添削にあたられた大塚桐霞会長と榎本宏霞副会長は、作品のサイズや布置などの全体の構成についてアドバイスされたり、誤字に見えやすい文字の正しい書き方や筆法などについても細かく確認されたり、一人一人時間をかけて丁寧に指導されました。
参加者からは「自分一人で制作していると気付かないことがたくさんあると解りました。添削していただいた部分をよく見直して、来月にもう一度参加します。」「草書作品で文字の崩し方に自信がなかった箇所を教えていただいて良かったです。更に書き込みます。」などと意欲的な感想を聞くことができました。
次回8月11日の研究会は「書心展作品の最終添削会」で、担当の先生方から丁寧な添削指導をしていただけます。正会員ならどなたでも参加できます。研究会に参加して更に書の力をアップしましょう。


2019年7月14日(日)第54回書心学生展席書大会

関東地方は長雨で肌寒い日が続き、晴れ渡った夏空が待ち遠しい7月となりました。
日本書道研究会では毎年、夏休み直前の日曜日に「席書大会」を開催しています。今年も7月14日に「中央区立産業会館」で100名近い参加者が集まり賑やかに開催されました。
席書では幼年から高校生までが制限時間内に手本なしで課題を半切用紙(35×135cm)に2枚書き、良い方を自分で選んで提出します。毎年、参加を楽しみにしている児童、生徒もたくさんいます。大塚桐霞会長から「私も子供の頃に席書大会に参加してきました。広い会場で作品を書き上げたことは大切な思い出です。みなさんもきっと良い経験になると思います。楽しんで書きましょう。」とのお話があり、参加者たちの緊張が解れたところでいよいよ開始時間となりました。「始め」の合図で一斉に真っ白な用紙に向かいます。低学年は身体全体を使って大筆を動かし、高学年は布置や文字のバランスを確認しながら慎重に書き進みます。その姿からは、教室で手や膝小僧、足の裏まで真っ黒にしながら練習を重ねてきた様子が目に浮かぶようでした。高校生は課題の漢詩を楷書や行書で作品に仕上げ、仮名作品を書く生徒は布置を確認しているのか、真っ白な用紙を見つめながら墨を磨り、筆に墨を含ませると一気に短歌を書き上げていました。会場を後にする参加者達の顔には、学校行事や部活動などで忙しい中、熱心に練習をして本番に向かい、作品を書き上げたという達成感が溢れていました。また、公募作品もこの日受付けが締め切られました。翌15日に同会場にて席書と公募の作品の審査が厳粛に行われ、東京都教育委員会賞・全日本書道連盟奨励賞など、各賞が決定しました。
第54回書心学生展は、11月10日(日)から11月16日(土)まで上野の「東京都美術館」で一般部の第55回書心展と同時開催されます。ぜひ会場に足を運んで子供たちの元気溢れる作品をご覧ください。


2019年6月16日 13:30~15:30 研究会「隷書作品・楷書作品」

木々の緑も日増しに深まり夏の到来を感じます。当会の月刊誌「書の心」では4月号より「隷書」「楷書」の課題がそれぞれ『乙瑛碑』『元結碑』になりました。そこで今月は『乙瑛碑』と『元結碑』の解説と筆法をより深く理解するために研究会の課題として取り上げました。当日は最初に嶋田蕙窗名誉会長より『乙瑛碑』の内容と特徴の説明があり、隷書作品を臨書するにあたっては、「字典や他の法帖なども参考にして文字の成り立ちをよく理解しながら書くと良いでしょう。」とのお話もありました。参加者が持参した4月号、5月号の半紙課題作品を展示して筆法や布置のアドバイスをしていただいた後、早速実技に移り6月号の課題を練習しました。参加者から「起筆」「終筆」の筆使いが難しいとの声が多く聞かれたため、嶋田先生が各テーブルを回りながら「筆の穂先の角度」や「筆圧の掛け方」などを丁寧にご指導してくださいました。後半は「書の心」誌で『元結碑』参考手本を揮毫されている榎本宏霞副会長より、顔真卿作品における『元結碑』の特徴の解説がありました。「臨書作品は原帖に忠実に書くことが第一義ですが、半紙作品に纏めるためには文字の大小や幅にも工夫が必要です。」また「『元結碑』では欠損部分が多くあり、それらを書く場合には顔真卿の同年代の作品の文字を参考にして書くことをお勧めします。」と、顔真卿の年表や文字の資料も紹介してくださいました。参加されたみなさんが顔真卿の筆法の特徴でもある「蚕頭燕尾」の筆使いを熱心に練習しているうちに瞬く間に研究会の終了時間となってしまいました。榎本先生や周りの方達にアドバイスをいただいて美しい波磔が書けるようになった方もいて、その満面の笑みからは仲間と学び合う楽しさが感じられました。後日、「帰宅後すぐに、教えていただいた筆法を思い出しながら今月の楷書課題を書き直してみました。」という意欲的な声も届き、有意義な研究会となりました。


2019年6月2日(日)令和元年度 師範・雅号認定授与式及び師範位祝賀会
(於:東京ガーデンパレス)

4月に実施された一般部の師範・昇段昇級試験の結果、本年度は漢字部6名、かな部10名が師範位を取得され、38名が初段に合格して当会の正会員になられました。その認定授与式と祝賀会が6月2日(日)にお茶の水の「東京ガーデンパレス」に於いて執り行われ、大塚桐霞会長より師範位認定証並びに雅号の許状が一人一人に授与されました。大塚桐霞会長は師範位認定者には「長い努力の結果、厳しい試験を乗り越えて師範になられました。しかし師範位はゴールではありません。指導者として教えることで新たに学ぶことや、これまで感じなかったことにたくさん気づくことがあります。これからも書の道を深く追求していってください。」と話され、雅号授与者には「芸術家が本名以外につける風流・風雅な別名が雅号です。雅号を授与された皆さんは芸術家の入り口に立ったことになり、これからも自分自身の向上のために益々書の道に精進してください。」と励まされました。嶋田蕙窗名誉会長は『心躍る人生』というタイトルで野球愛を貫いたイチロー選手の記事を書かれた作家の話を例に、「スポーツだけではなく誰でもそのことが好きな道なら一生続けることができ、必ず熟練者になり、経験も知識も人脈も広がって魅力的な人になれます。皆さんの歩む道に『書』が入っていれば大変嬉しいことです。一度きりの人生、心躍るものにしましょう。」と祝辞を述べられました。厳粛な式典後は師範位認定者を囲んで、同会場で祝賀会が開かれました。米山映峯最高顧問は祝辞の中で「『書の心』誌を学ぶ時に、ぜひ小学生の毛筆も書いてみてください。簡単そうに見えますが、ひらがなや画数の少ない漢字がいかに難しいか実感すると思います。」と勉強方法のアドバイスをしてくださいました。また、石橋柳苑名誉顧問は「日本書道研究会」を盛り込んだ替え歌を披露され、その楽しい歌詞に会場は歓声と笑い声で包まれ、各テーブルで話も弾み、終盤は毎年恒例のグループ対抗の漢字ゲームで大いに盛り上がりました。


2019年5月19日(日)13:30〜15:00 研究会「かな ちらし書きの創作」

令和元年が始まり日本書道研究会の今年度の行事も順調に進んでいます。
当会の月刊誌「書の心」には「和歌の作品」が「半紙かな課題」の一つとして掲載されています。毎月書いていてもいざ自分で半紙に散らして創作するとなると「構成は四行にするのか五行・六行にするか等行数で迷ったり、変体仮名の選び方や墨つぎがよく解らなかったり、創作は難しい。」という声をよく聞きます。そこで5月の研究会は「ちらし書き」をテーマに石橋柳苑名誉顧問を講師にお招きして勉強しました。最初に課題を横型作品にされた田中金川最高顧問と、縦型作品に纏められた石橋先生の課題作品を展示し、和歌のちらし方の詳しい説明がありました。石橋先生は「基本の筆使いが身についたら、古筆の臨書にじっくりと取り組み、文字の大小や余白の取り方、行の流れなどに留意し、一つの帖に数年掛けるつもりで書き続けると、自然に手が動くようになります。その後、倣書をして和歌のちらしを創ってみるとよいでしょう。」と話されました。その後、「関戸本古今集」の一部分を参加者全員で臨書しました。1時間弱の臨書時間でも石橋先生にアドバイスをいただきながら書くうちに、筆使い・文字の大小・行間など今まで気づかなかった新しい発見がありました。ご欠席の田中先生からは「毎月のかな創作や条幅作品に挑戦してください。著名な先生の作品を参考にして、常に美しいものを見て感性を磨くことが大事です。」とのメッセージをいただきました。最後に持参した課題作品をもう一度書き直してこの日の総まとめとしました。


2019年5月11日(土)「『書の心』600号記念式典及び新年度親睦会」
(於:東天紅上野店)

令和元年5月11日(土)に「『書の心』600号記念式典及び新年度親睦会」が上野池之端の東天紅で開催されました。『書の心』600号記念式典では大塚桐霞会長から「『書の心』は昭和44年4月から今年3月まで休むことなく出版されてきました。山口昭峯第三代会長の創刊の辞には「顔法を基調としながらも書道の発展普及のために、顔法以外の書についても、広く深く研究できるような書誌に育成したい。」とあります。現在『書の心』はこの一冊で様々な書体、書風を学ぶことが出来ます。700号、更にはその先に向けて研鑽を積み、108年間脈々と受け継がれてきた伝統ある日本書道研究会と、書道会全体の発展に取り組んでいきましょう。」というご挨拶がありました。米山映峯最高顧問は『書の心』創刊当初の先輩先生方の書に懸ける熱意と発刊に寄与されたお話をされ「基本をしっかり身につけた上で幅広く研究して、700号まで、これからの8年間を時代の変化に添いながら成長をしていきましょう。」という言葉で締めくくられました。また永年当会を支え後進の指導に当たられている全支部長には、表彰状と記念品が贈られました。

短い休憩の後、令和元年新年度親睦会が同会場で行われました。大塚桐霞会長は「新しい令和の時代とともに、支部を作り広く書道を普及させ、個人的にも新たな目標を立てて成長していきましょう。」というご挨拶がありました。嶋田蕙窗名誉会長からは「新しい時代と共に日本書道研究会も新しい若い力が育ち、会の運営、活動も幅広くなりました。これからも会の発展に協力していきましょう。」と話されました。米山映峯最高顧問の乾杯のご発声で宴が始まり、各テーブルで和やかに食事、歓談が続き、支部や参加会員の紹介もありました。更に支部長を代表して小澤榮楓先生、小林桃峯先生、島秀明先生が支部開設時の話や楽しいお仲間や教室の様子についてご披露されました。役員の先生方の作品がいただける抽選会で宴はたけなわとなり、最後に今年度の行事担当者、事務局スタッフの紹介がありました。会員一同が協力して、真摯に書を学び、この伝統ある会を一層発展させていこうという気持ちが溢れる、新元号制定の年に相応しい親睦会となりました。


2019年3月10日(日)13:30〜15:30 研究会「師範昇段昇級試験作品添削会」

各地から花の便りが届く季節となりました。本部では今年度最後の研究会「師範昇段昇級試験作品の添削会」が開催されました。一年間「書の心」誌で学んだことや展覧会作品に挑戦したこと、更には独自で研究したことなどいろいろな経験を作品に活かして纏め、その成果が試される時です。昇段昇級試験の課題を持参された方達は脱字がないか、誤字に見られやすい文字がないか、更に構成や筆法で疑問が生じたところなどを添削指導の先生に質問し、内容をメモに取りながら真剣な面持ちで指導を受けていました。また今回師範を受けられる方の中にはご指導の先生と一緒に参加された方もいました。師範試験の課題はより高い作品性も求められるため、完成度の高い作品にするためにはどう工夫したらよいかなどと熱心に質問をし、添削指導の先生はひとりひとりに丁寧に応えられていました。熱気あふれる今年度最後の研究会は時間を大幅にオーバーして終了しました。試験課題作品は4月5日(金)が本部提出締め切りです。提出期限まで一ヶ月を切りましたが、受験される方は課題作品をよく見直して、ご自分の納得のいく作品になるよう頑張りましょう。