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2019年6月16日 13:30~15:30 研究会「隷書作品・楷書作品」

木々の緑も日増しに深まり夏の到来を感じます。当会の月刊誌「書の心」では4月号より「隷書」「楷書」の課題がそれぞれ『乙瑛碑』『元結碑』になりました。そこで今月は『乙瑛碑』と『元結碑』の解説と筆法をより深く理解するために研究会の課題として取り上げました。当日は最初に嶋田蕙窗名誉会長より『乙瑛碑』の内容と特徴の説明があり、隷書作品を臨書するにあたっては、「字典や他の法帖なども参考にして文字の成り立ちをよく理解しながら書くと良いでしょう。」とのお話もありました。参加者が持参した4月号、5月号の半紙課題作品を展示して筆法や布置のアドバイスをしていただいた後、早速実技に移り6月号の課題を練習しました。参加者から「起筆」「終筆」の筆使いが難しいとの声が多く聞かれたため、嶋田先生が各テーブルを回りながら「筆の穂先の角度」や「筆圧の掛け方」などを丁寧にご指導してくださいました。後半は「書の心」誌で『元結碑』参考手本を揮毫されている榎本宏霞副会長より、顔真卿作品における『元結碑』の特徴の解説がありました。「臨書作品は原帖に忠実に書くことが第一義ですが、半紙作品に纏めるためには文字の大小や幅にも工夫が必要です。」また「『元結碑』では欠損部分が多くあり、それらを書く場合には顔真卿の同年代の作品の文字を参考にして書くことをお勧めします。」と、顔真卿の年表や文字の資料も紹介してくださいました。参加されたみなさんが顔真卿の筆法の特徴でもある「蚕頭燕尾」の筆使いを熱心に練習しているうちに瞬く間に研究会の終了時間となってしまいました。榎本先生や周りの方達にアドバイスをいただいて美しい波磔が書けるようになった方もいて、その満面の笑みからは仲間と学び合う楽しさが感じられました。後日、「帰宅後すぐに、教えていただいた筆法を思い出しながら今月の楷書課題を書き直してみました。」という意欲的な声も届き、有意義な研究会となりました。


2019年6月2日(日)令和元年度 師範・雅号認定授与式及び師範位祝賀会
(於:東京ガーデンパレス)

4月に実施された一般部の師範・昇段昇級試験の結果、本年度は漢字部6名、かな部10名が師範位を取得され、38名が初段に合格して当会の正会員になられました。その認定授与式と祝賀会が6月2日(日)にお茶の水の「東京ガーデンパレス」に於いて執り行われ、大塚桐霞会長より師範位認定証並びに雅号の許状が一人一人に授与されました。大塚桐霞会長は師範位認定者には「長い努力の結果、厳しい試験を乗り越えて師範になられました。しかし師範位はゴールではありません。指導者として教えることで新たに学ぶことや、これまで感じなかったことにたくさん気づくことがあります。これからも書の道を深く追求していってください。」と話され、雅号授与者には「芸術家が本名以外につける風流・風雅な別名が雅号です。雅号を授与された皆さんは芸術家の入り口に立ったことになり、これからも自分自身の向上のために益々書の道に精進してください。」と励まされました。嶋田蕙窗名誉会長は『心躍る人生』というタイトルで野球愛を貫いたイチロー選手の記事を書かれた作家の話を例に、「スポーツだけではなく誰でもそのことが好きな道なら一生続けることができ、必ず熟練者になり、経験も知識も人脈も広がって魅力的な人になれます。皆さんの歩む道に『書』が入っていれば大変嬉しいことです。一度きりの人生、心躍るものにしましょう。」と祝辞を述べられました。厳粛な式典後は師範位認定者を囲んで、同会場で祝賀会が開かれました。米山映峯最高顧問は祝辞の中で「『書の心』誌を学ぶ時に、ぜひ小学生の毛筆も書いてみてください。簡単そうに見えますが、ひらがなや画数の少ない漢字がいかに難しいか実感すると思います。」と勉強方法のアドバイスをしてくださいました。また、石橋柳苑名誉顧問は「日本書道研究会」を盛り込んだ替え歌を披露され、その楽しい歌詞に会場は歓声と笑い声で包まれ、各テーブルで話も弾み、終盤は毎年恒例のグループ対抗の漢字ゲームで大いに盛り上がりました。


2019年5月19日(日)13:30〜15:00 研究会「かな ちらし書きの創作」

令和元年が始まり日本書道研究会の今年度の行事も順調に進んでいます。
当会の月刊誌「書の心」には「和歌の作品」が「半紙かな課題」の一つとして掲載されています。毎月書いていてもいざ自分で半紙に散らして創作するとなると「構成は四行にするのか五行・六行にするか等行数で迷ったり、変体仮名の選び方や墨つぎがよく解らなかったり、創作は難しい。」という声をよく聞きます。そこで5月の研究会は「ちらし書き」をテーマに石橋柳苑名誉顧問を講師にお招きして勉強しました。最初に課題を横型作品にされた田中金川最高顧問と、縦型作品に纏められた石橋先生の課題作品を展示し、和歌のちらし方の詳しい説明がありました。石橋先生は「基本の筆使いが身についたら、古筆の臨書にじっくりと取り組み、文字の大小や余白の取り方、行の流れなどに留意し、一つの帖に数年掛けるつもりで書き続けると、自然に手が動くようになります。その後、倣書をして和歌のちらしを創ってみるとよいでしょう。」と話されました。その後、「関戸本古今集」の一部分を参加者全員で臨書しました。1時間弱の臨書時間でも石橋先生にアドバイスをいただきながら書くうちに、筆使い・文字の大小・行間など今まで気づかなかった新しい発見がありました。ご欠席の田中先生からは「毎月のかな創作や条幅作品に挑戦してください。著名な先生の作品を参考にして、常に美しいものを見て感性を磨くことが大事です。」とのメッセージをいただきました。最後に持参した課題作品をもう一度書き直してこの日の総まとめとしました。


2019年5月11日(土)「『書の心』600号記念式典及び新年度親睦会」
(於:東天紅上野店)

令和元年5月11日(土)に「『書の心』600号記念式典及び新年度親睦会」が上野池之端の東天紅で開催されました。『書の心』600号記念式典では大塚桐霞会長から「『書の心』は昭和44年4月から今年3月まで休むことなく出版されてきました。山口昭峯第三代会長の創刊の辞には「顔法を基調としながらも書道の発展普及のために、顔法以外の書についても、広く深く研究できるような書誌に育成したい。」とあります。現在『書の心』はこの一冊で様々な書体、書風を学ぶことが出来ます。700号、更にはその先に向けて研鑽を積み、108年間脈々と受け継がれてきた伝統ある日本書道研究会と、書道会全体の発展に取り組んでいきましょう。」というご挨拶がありました。米山映峯最高顧問は『書の心』創刊当初の先輩先生方の書に懸ける熱意と発刊に寄与されたお話をされ「基本をしっかり身につけた上で幅広く研究して、700号まで、これからの8年間を時代の変化に添いながら成長をしていきましょう。」という言葉で締めくくられました。また永年当会を支え後進の指導に当たられている全支部長には、表彰状と記念品が贈られました。

短い休憩の後、令和元年新年度親睦会が同会場で行われました。大塚桐霞会長は「新しい令和の時代とともに、支部を作り広く書道を普及させ、個人的にも新たな目標を立てて成長していきましょう。」というご挨拶がありました。嶋田蕙窗名誉会長からは「新しい時代と共に日本書道研究会も新しい若い力が育ち、会の運営、活動も幅広くなりました。これからも会の発展に協力していきましょう。」と話されました。米山映峯最高顧問の乾杯のご発声で宴が始まり、各テーブルで和やかに食事、歓談が続き、支部や参加会員の紹介もありました。更に支部長を代表して小澤榮楓先生、小林桃峯先生、島秀明先生が支部開設時の話や楽しいお仲間や教室の様子についてご披露されました。役員の先生方の作品がいただける抽選会で宴はたけなわとなり、最後に今年度の行事担当者、事務局スタッフの紹介がありました。会員一同が協力して、真摯に書を学び、この伝統ある会を一層発展させていこうという気持ちが溢れる、新元号制定の年に相応しい親睦会となりました。


2019年3月10日(日)13:30〜15:30 研究会「師範昇段昇級試験作品添削会」

各地から花の便りが届く季節となりました。本部では今年度最後の研究会「師範昇段昇級試験作品の添削会」が開催されました。一年間「書の心」誌で学んだことや展覧会作品に挑戦したこと、更には独自で研究したことなどいろいろな経験を作品に活かして纏め、その成果が試される時です。昇段昇級試験の課題を持参された方達は脱字がないか、誤字に見られやすい文字がないか、更に構成や筆法で疑問が生じたところなどを添削指導の先生に質問し、内容をメモに取りながら真剣な面持ちで指導を受けていました。また今回師範を受けられる方の中にはご指導の先生と一緒に参加された方もいました。師範試験の課題はより高い作品性も求められるため、完成度の高い作品にするためにはどう工夫したらよいかなどと熱心に質問をし、添削指導の先生はひとりひとりに丁寧に応えられていました。熱気あふれる今年度最後の研究会は時間を大幅にオーバーして終了しました。試験課題作品は4月5日(金)が本部提出締め切りです。提出期限まで一ヶ月を切りましたが、受験される方は課題作品をよく見直して、ご自分の納得のいく作品になるよう頑張りましょう。


2019年3月1日(金)〜 4日(月)「第54回日本書研展」 於:上野の森美術館

「春に三日の晴れなし」の諺とおりの空模様の中、3月1日から4日まで、東京・上野の「上野の森美術館」にて「第54回日本書研展」が開催されました。「日本書研展」は当会師範位以上の一門展として毎年1回開催されています。会場には新しく師範位を取得した方々を加え140点の作品が展示されました。本展覧会は、日ごろから当会発行の月刊誌「書の心」を中心に、楷・行・草・篆・隷書や仮名などを学びながら自身の書風を追求し、研鑽を重ねた成果が発表できる場です。様々な書体、題材、型式の作品があり、重厚な味わいある筆使いの漢字作品や優雅な仮名作品がある一方で、初出品の新師範の作品からは力強さを感じさせるものもあり、観る人を飽きさせない魅力的な作品が展示された会場は、4日間とも大いに賑わいました。近年は小さなお子さんや若い年代の方の来場も増え、更に外国の方が足を止めて熱心に鑑賞してくださる姿に、来年に向けての創作意欲が益々高まってきました。来年も「心に響くような書」が発表できるように、会員皆で研鑽に励んで行きます。


2019年2月16日(土) 研修会「王羲之書法の残影―唐時代への道程」鑑賞会(於:台東区立書道博物館)

平成30年度の最後の行事となった研修会は、台東区立書道博物館での鑑賞会でした。東京国立博物館で開催されていた「顔真卿展」と合わせて鑑賞し、書の歴史を学び、理解を深めて日頃の書活動に活かそうと企画されました。当日は台東区立書道博物館の学芸員に展示作品の詳細な解説をしていただけるとあって、参加者も50名余りになり午前、午後の2回に分けるほどの盛況ぶりで、みなさんの関心の高さが伺えました。
内容は王羲之が活躍した東晋時代と、虞世南・欧陽詢・褚遂良・顔真卿が活躍し、書が最も高い水準に到達した唐時代までの架け橋となった南北朝時代の書の発展の道程を拓本や肉筆資料でたどるものでした。学芸員の豊富な知識と展示品への愛情溢れる話を聞きながら鑑賞していくことで、龍門二十品と呼ばれている石碑の拓本や法帖、タクラマカン砂漠に眠っていた当時(505年頃)の肉筆の法帖、皇帝が崇拝した王羲之作品の拓本などの数々の展示品により、更に深く学ぶことができたように思います。今回顔真卿については時間の関係上詳しい説明はありませんでしたが、顔真卿の肉筆は2点現存し、1点は台北の故宮博物館、もう1点はこの博物館が所蔵し、現在は顔真卿展開催中の東京国立博物館へ貸し出されています。複製版は常時展示されていますが、実物は数年に一回展示されるようです。最後に本館での常設の甲骨文字、金石文字、塼など文字の起源に関する展示品も鑑賞することができました。鑑賞会後には新たに気付いた事や感想を話し合う人達やその足で「顔真卿展」に向かう方もいました。参加されたみなさんは更に探究心を掻き立てられた様子で改めてゆっくり訪れたいとの声も聞かれ充実した研修会となりました。


2019年1月20日(日)13:30〜15:30 審査員・鑑査員及び支部長勉強会

平成30年度最後の審査員・鑑査員及び支部長勉強会の課題は、現在「書の心」誌の楷書課題として学んでいる「放生池碑陰記」でした。課題の24文字の中に帝を敬うための欠字があり、参加者からは字の配置に苦労したという声が多く聞かれました。
米山映峯名誉会長は「帝(皇帝、貴人)を一番上に書く場合は、欠字を作らずとも敬意を表せます。作品にする際には短い文章では欠字が目立つ為、通常は欠字のバランスを考えて文章を選びます。今回は勉強のために短い文章をあえて課題に選びました。」と説明してくださいました。顔真卿は50代半ばから左遷が続き、地方赴任を繰り返した中で多くの碑を残しました。「時代やその時の心情によって書かれた文字には違いがあり、それぞれを臨書することで顔真卿の凄さ、魅力を発見してほしい。」とも話されました。
また、嶋田蕙窗会長は用紙選びについて、「楷書作品を書く場合は少し食い込む紙に、滲み過ぎないように書くと味わいのある作品になります。」と話されました。
参加者同士の活発な意見交換の後に実技に移りました。全員で中鋒の筆使いを確認、技巧的でなく自然な筆運びを練習しました。勉強会を終えて、臨書をすることで新しい気付きがあり、学ぶ楽しさを味わえたという嬉しい言葉が寄せられました。


2019年1月13日(日)12:30〜15:00 研究会「支部長講習会」

厳しい寒波の中、平成最後の新年を迎えました。今年最初の研究会は、4月に実施される師範・昇段昇級試験に向けての支部長対象の講習会でした。初めに試験担当者より本年度のスケジュールと注意事項の説明があり、次に昇級試験の半紙課題作品、その後師範・昇段試験の条幅仮名・条幅漢字作品の講習に移りました。仮名は田中金川最高顧問が「行の整え方や線の変化の出し方、墨量や渇筆の筆使いなど」について説明され、支部長が持参した課題作品については、構成や連綿線の書き方などについて一枚ずつ丁寧なアドバイスもありました。漢字作品は米山映峯名誉会長が担当され、「指導者が基本を再確認し、納得したうえで自信を持って指導し、生徒がこれまで勉強してきた成果が発揮できるように心掛けて欲しい。」と話されました。支部長から文字の選び方、構成などについて次々と質問の手が挙がると、米山先生は陳列された支部長の課題作品を例に、間違えやすい文字について、また落款の位置なども含めた作品構成について、書き易く、わかり易い手本を制作する為の大事な点を説明されました。支部長からは「自分の作品の問題点が良く理解できた。自分の言葉で生徒にきちんと説明できるように、再度基本を見直して指導したい。」などの声が聞かれました。2月と3月の研究会は「試験課題の添削会」です。受験される会員の方以外にも、ご指導の先生でも参加できます。1回でも2回でも研究会に参加し、見応えのある作品を書いて、受験者は全員合格しましょう。


2018年11月18日(日)13:00〜16:00 第54回日本書研展作品確認会

本格的な冬の到来を感じさせる寒さとなった11月18日の日曜日に、来春開催予定の「第54回日本書研展」の「作品確認会」が本部に於いて開催されました。先月の「下見・相談会」以降に作品の型式や内容を変更した方や、更にアドバイスなどを受けたい方を対象に行われ、11月16日まで東京都美術館で開催されていた「第54回書心展」の直後の相談会とあって、書心展作品に刺激を受け、創作意欲を掻き立てられた人も多かったようで、たくさんの参加者が集まりました。「10月に提出した作品を修正してみたが、更に充実した作品に仕上げるにはどのようにしたら良いか。」「用紙や墨色は内容と合っているか。」「落款の収まりは良いか。」などと積極的に質問をする方も多く、指導にあたられた担当役員はそれぞれの個性を活かした作品がより良いものになるように、一人一人丁寧に対応され、終了時間まで会場は熱気に溢れていました。作品の最終提出日は12月7日(金)で、「第54回日本書研展」は平成31年3月1日(金)~4日(月)「上野の森美術館」にて開催されます。10月の「作品下見・相談会」と今回の「作品確認会」と2回に亘って行われた研究会の成果が、魅力ある作品となって会場に展示されることが大いに期待されます。


2018年11月10日(土)〜 11月16日(金)「第54回書心展」〈於:東京都美術館〉

朝晩の寒暖差が大きくなり紅葉の見ごろを迎えました。上野公園の樹々には暖かな秋の日差しが注がれて、公園全体が芸術の秋そのものといった美しさが感じられました。今年も「東京都美術館」で「第54回書心展」が開催され、日頃古筆の勉強に取り組み、その集大成としての臨書作品や、当会の月刊誌「書の心」などで勉強し、自身の作風に昇華させた魅力ある創作作品が会場いっぱいに展示されました。「U23部門」は年々出品数が増え、若さ溢れる作品は、気負わず大らかで真摯に取り組む姿が垣間見られ、将来への期待が膨らみました。鑑査員部の「書心大賞」始め一般部の「東京都知事賞」などの推薦賞受賞作品は、どれもみな構成も素晴らしく、魅力的な線質で書かれ、気迫に溢れていて、多くの来場者は心奪われ、感動して作品の前でしばし佇む姿が見られました。10日(土)午後には東京都美術館の講堂で授賞式が行われました。嶋田蕙窗会長は祝辞の中で「書は自己表現ともいわれ、心の表現と表裏一体をなしています。作品を見た時に書いた人に会って話を聞いてみたいと思わせるような作品が書けるように、常に心と技術の両方を磨いて、たゆまず励むことが大事です。」と話されました。受賞者は勿論、会場の皆さんにも深く心に響くお話でした。また、同日の夕方からは「上野精養軒」に会場を移し「書心展懇親会」が開催されました。受賞者の皆さんの作品制作時の苦労話や、ご指導の先生と築かれた絆の深さなど、普段聞かれないお話に感銘を受けた方も多く、心に残る宴となりました。

受付
役員作品
受賞作品
授賞式 懇親会
第54回書心展授賞式集合写真

2018年11月11日(日)13:30~14:30 第54回書心展ギャラリートーク
〈於:東京都美術館〉

第54回書心展各部門の推薦賞受賞者とご指導の先生、当会役員によるギャラリートークが書心展会場内で開催されました。最初に紹介された「U23新鋭賞」を受賞した青年の「書いても書いても満足することはないです。書は終わりが見えないところが好きです。」という意欲的で頼もしいコメントで会場が一瞬にして明るくなりました。各受賞者の「題材選び」「作品制作過程で悩んだ箇所や工夫した点」などの話では、各々作品を前にして解りやすく説明され、とても良く理解できました。「先生に何度も相談してご指導を受けた。家族の励ましで書き続けることができた。」といった話からは、受賞者を取り巻く環境も作品制作の上ではとても大事であることを改めて気付かせくれました。また、役員の先生が持参された原寸大の拓本と、それを大きく書いた臨書作品とを比較しながらの構成や筆法などの話は、これから臨書作品を選んで書く際の大変参考になる内容でした。
最後に嶋田蕙窗会長の「日本書道研究会は発足以来107年、顔真卿の書を学ぶ会としてスタートしましたが、今ではいろいろな書体の古筆を学ぶ会として発展してきました。常に基本を疎かにせず、その上に個性を磨き、各自の書風を確立していきたいものです。研鑽を積み、作品を見た時にその書家に会ってみたいと思わせるような書が書けるよう、互いにたゆまず修練していきましょう。」と話されました。来年のギャラリートークもぜひご期待ください。


2018年11月10日(土)~ 11月16日(金)「第53回書心学生展」

上野公園の樹々の彩が美しくなり、休日には動物園や美術館を訪れる人々で賑わいを増しています。その上野公園内にある「東京都美術館」で11月10日(土)から「第53回書心学生展」が開催されました。
今年も猛暑となった7月に「中央区立産業会館」で行われた席書大会の作品と公募作品が書心展会場と隣り合わせの会場で展示されました。席書参加者が一堂に会場に集まり、手本を見ずに短い制限時間内で書き上げた席書作品は気迫が漲り、堂々としていました。また教室で何度も練習を重ねて書き上げられた公募作品からは、意気込みと努力の跡が感じられました。そしてどの作品からも一生懸命に書いている子供たちの姿が目に浮んでくるような気がしました。また中高生の作品は、基礎をよく勉強し丁寧に書かれているものが多く、日頃から書に真面目に取り組んでいる様子が窺えました。展示会場では作品を前に、教室でお友達とたくさん練習した様子をご家族に話す子ども達や、部活動や塾で忙しい時でも時間をやり繰りして練習を重ねて書き上げた作品の前で記念撮影をする子ども達の姿が会場のあちこちで見られました。
11月10日(土)午後、東京都美術館講堂にて授賞式が行われました。大勢の受賞者は壇上に上がり、一人一人賞状と大きな楯をいただきました。嶋田蕙窗会長からは「受賞おめでとうございます。受賞は自分一人の力だけではなく、ご指導の先生、支えて下さるご家族、励ましあう友人のお蔭ということも忘れずに皆に感謝しましょう。そして更に上達するには『先生の教えをよく聞き、手本をよく見て、たくさん書く。』これは習字の『三多』といいます。これからもずっと元気で三多を頑張りましょう。」というお話がありました。壇上で賞状を受け取る時には緊張した様子の子ども達でしたが、式典後にはご家族やご指導の先生に「頑張ったね。」と声を掛けられると、達成感のある元気な顔で賞状や楯を見せている姿はなんとも微笑ましく、こちらも自然に笑みがこぼれてくるような式典でした。

東京都美術館 受付
受賞作品
会場風景
授賞式
第53回書心学生展授賞式集合写真

2018年10月21日(日)10:00〜16:00 研究会「第54回日本書研展作品下見相談会」

爽やかな秋空に恵まれた日曜日、来春開催される「第54回日本書研展」の作品下見相談会が出品予定者全員を対象に本部で行われました。「日本書研展」は漢字及びかな部で師範位以上の方の発表の場として毎年東京・上野公園内の「上野の森美術館」で開催されます。第54回展の会期は平成31年3月1日(金)から3月4日(月)です。公募展の書心展とは異なり、比較的小さい作品で出品者の自由な表現を感じることが出来る楽しい展覧会です。下見相談会は日本書道研究会役員により出品予定作品の一点一点に、作品の構成から書体、用紙の選び方などまで、多岐に渡りアドバイスをいただける会です。参加された方々は下書き作品と資料などを持ち込み、熱心に相談をしたり添削指導を受けていました。次回11月18日(日)に行われる「作品確認会」や12月7日の作品提出締切日に向けて、より魅力的な作品を制作したいという意気込みが伝わってきました。


2018年9月23日(日)13:30〜15:30 審査員・鑑査員及び支部長勉強会

今年度2回目となった、審査員・鑑査員及び支部長勉強会の課題は、現在「書の心」誌の行書課題として学んでいる顔真卿の【與蔡明遠書】を臨書し、作品を創るという内容でした。参加者が作品を展示して疑問点や工夫した箇所を話し合う中で、米山映峯名誉会長からは「顔真卿の書翰としての雰囲気を大切にするためには、字間・行間の空け方に留意して臨書し、作品として纏める時には、用紙の大きさに対して行や字数の配分を熟考することが大事です。」というお話がありました。また、「書の心」誌で【與蔡明遠書】の課題手本を担当されている大塚桐霞副会長は、「変わった字形を真似するのではなく特徴を捉えることが大事です。」と教えてくださいました。参加者は個々の作品へのアドバイスを熱心にメモに取ったり、疑問点は資料を見比べたりして、周囲の人たちと納得がいくまで話し合いました。
後半の実技では、一つでも顔真卿の筆法を 修得してほしいという米山先生のご指導のもと全員が筆を持ちました。転折の時の筆の立ち上がり方や波磔の特徴の捉え方などの筆使いを学ぶ人、意味の区切りで文字を短く拾う方法を相談する人もあり、皆で問題点を共有しながら勉強ができ実りのある時間となりました。


2018年9月16日(日)13:30~15:30 研究会「展覧会のための作品創り」

厳しかった夏の暑さがようやく終わりを告げ、秋の気配が感じられるようになりました。野山を歩いたり美術館を巡ったり、この季節は美しいものに出会う機会も多いと思います。そのような機会によって「視覚を刺激し体感で味わう」というその積み重ねが、感性を磨いて作品制作にも活かされてくるような気がします。
久しぶりに涼しくなった日曜の午後、本部では米山映峯名誉会長を講師にお迎えして「展覧会のための作品創り」が開催されました。展覧会作品を制作する場合、展覧会の主旨によって作品内容が異なり、注意点も違うことから、今回は「日本書研展」の作品型式に沿って講義とご指導をいただきました。初めに米山先生の参考作品を展示し、資料の漢詩や「書の心」誌で課題として取り上げている「書譜」の文章を基に、題材の選び方を詳しく説明していただきました。次に書きたい文字や文章が決まったら、字体や布置を考えて、美しい作品にするために客観的な視点を持って校正を繰り返して仕上げていくという詳しいお話の後、文字を段々変化させた様子が段階ごとに解る米山先生の作品を見せていただくと、参加者はとても良く理解できました。後半の実技の時間では、参加者がその場で選んだ文字や詩を「日本書研展」の作品型式の半切1/2や1/4サイズの用紙に書き、作品創りに挑戦しました。ひとりひとり先生に腕を取って筆使いを教えていただき、布置、墨色などのアドバイスも受けながら、最後には全員が小作品を完成させました。この日学んだ事を大いに活かして、次回の研究会「日本書研展作品の下見相談会」に作品を持参されることと思います。そして日頃から古典の文章を読んだり、文字を調べたりして題材の引き出しをたくさん持ち、実際に自分で書くという姿勢がとても大切だという事も実感した実りの多い研究会でした。


2018年8月5日(日)13:30~15:30 研究会「第54回書心展作品添削会」

連日猛威を振るう記録的な暑さの中、今秋開催される「第54回書心展」のための作品添削会が本部にて開催され、作品提出締切日を9月6日に控えた出品予定者は、より完成度の高い作品を制作しようと集まり、制作中に生じた疑問点や展覧会作品として完成させるにはどのように工夫したら良いのか等を、担当役員の先生からご指導を受け ました。
作品サイズや布置などの全体の構成についてのアドバイスに始まり、誤字に見えやすい文字の正しい書き方や細かな筆法、更に大きな会場に展示される作品をより魅力的なものに完成させるための表現方法に至るまで、参加者はいろいろな視点からのアドバイスを受けることができました。自分の作品だけではなく他の参加者達の作品からも様々な刺激を受けたという参加者のコメントもあちこちで聞かれました。そして各々添削を受けた作品を前にしながら、より鍊度の高い作品を制作したいという意欲を更に掻き立てられた様子が垣間見えました。また、大きなサイズの作品を書かれた80歳を超える参加者が何人もいて、楽しみながら書の道を追求されている姿に、参加者一同驚かされるとともに自分にも照らし合わせ、年齢を重ねても書の道を極めていくことが出来ると実感した研究会となりました。U23の作品数も年々増加しており、若い世代の活躍が頼もしい限りです。幅広い年齢層の作品が展示される「第54回書心展」は「第53回書心学生展」と同時に東京都美術館にて11月10日(土)から16日(金)まで開催されます。


2018年7月15日(日)第53回書心学生展席書大会

例年より早い梅雨明け宣言となった後の関東地方は厳しい暑さの連続で、毎日熱中症のニュースが取り上げられています。7月15日(日)、その暑さの真っただ中「中央区立産業会館」で100名近い参加者が集まり、第53回書心学生展席書大会が開催されました。初めに嶋田蕙窗会長は「席書大会では、この場所で誰の助けも借りずに準備し、決められた時間内に課題を書いて選び、後片づけまでの全てを自分一人で行うという貴重な体験をし、達成感を味わうことができます。皆さん、今日の為にたくさん練習してきたので自信を持って書きましょう。」と挨拶されました。席書は制限時間30分(高校生は45分)以内に手本なしで課題を半切用紙(35×135㎝)に2枚書き、良い方を自分で選んで提出します。参加者は自分の席に着くと静かに筆、文鎮、下敷きの準備をして開始の合図で一斉に真っ白な用紙に向かいます。低学年は身体全体を使って用紙からはみ出しそうなくらいに力強く筆を動かし、高学年は集中して一文字ずつ丁寧に書いていました。高校生は課題の漢詩を楷書や行書体で作品に仕上げ、仮名作品に挑戦した高校生は準備の5分間で墨を磨り、開始の合図で筆に墨を含ませると濃淡をつけて一気に課題の和歌を書き上げ、最後に雅印を押して作品を完成させました。迷いのない一連の動作からは、普段のお稽古場で熱心に書に取り組む姿が想像でき、また指導者の行きとどいた指導方法も垣間見えた気がしました。部活動や塾などで忙しい中、何度も練習を重ねて本番に向かい、作品を書き切ったという達成感漲る笑顔が、どの参加者の顔からも溢れていました。
また、公募作品もこの日受付けが締め切られました。翌16日同会場にて席書と公募の作品の審査が厳粛に行われ、東京都教育委員会賞・全日本書道連盟奨励賞など各賞が決定しました。
第53回書心学生展は、11月10日(土)から11月16日(金)まで上野の「東京都美術館」で一般部の書心展と同時開催されます。毎年来場者からは、真摯に書に向かう姿が作品から伝わってくると好評をいただいています。ぜひ会場に足を運んで子供たちの元気溢れる作品の数々をご覧ください。

席書風景
審査風景

2018年7月8日(日)13:30~15:30 研究会「第54回書心展作品の添削会」

大雨や地震。被災地の報道を見聞きするたびに胸が痛みます。これ以上被害が大きくならないように祈るばかりです。関東地方は連日陽射しが強く、午前中から気温が上がり始めた日曜日の午後1時30分から「第54回書心展作品の添削会」が始まりました。書心展作品の大きさは半切サイズから最大で全紙2枚継ぎ2曲までと大型の作品も出品できるとあって、出品予定の方が大きな作品を抱えて続々と集まりました。ご指導の先生はどの作品にも一文字ずつ誤字がないかを確認し、全体に調和のとれた作品になっているかなどを細かく調べ、展覧会作品として創意工夫された見応えのある作品になるようにアドバイスされていました。次回8月5日(日)の研究会は書心展作品の最後の添削会です。役員の先生に直接添削指導をしていただける貴重な機会です。ぜひ、ご参加ください。